【農業日記】種蒔きの後、発芽室からいつ出せばいいか?


そろそろ種まき準備の時期になりました。

春夏野菜の育苗を2月〜5月にかけて行います。
これまで、野菜の種をトレイに播いた後、しばらく室内の保温庫で適温管理した後、芽が出たところで陽に当ててきました。

しかし毎回、ひょろひょろ伸びた双葉になってしまいます。

↓昨年(2016年2月)のキャベツの発芽の様子

【写真】発芽

最近知ったのですが、こんな格言があるそうです。

「発芽させても出芽させるな」

注)発芽と出芽

↓発芽   ↓出芽

P2047209

発芽:種から芽や根が出て来たとき。
出芽:地上に植物体が出て来たとき。
という意味で使われています。

この格言が言っているのは、「発芽促進させるむろに入れた後、室から出すのが出芽してからでは遅い」ということです。

でもなぜ出芽させたらだめなのか?

この本に答えがありました。

本_植物の身体の中では

240ページ
「緑化と成長 光とともに姿を変える
〜もやしはなぜひょろひょろなのか 暗形態形成〜」

P2027203

フックと呼ばれる「∩」の所に光を感じるセンサーがあって、ここに光が当たるまでは胚軸をどんどん伸ばし、地上に出ようとする
暗形態形成)。

「∩」の所に光が当たると、センサーからある物質が出て胚軸の伸びが終わり、双葉を展開させて通常の植物の形に育ち始める
光形態形成)。

だから、種を蒔いて「∩」が見えてから光に当てたのでは、まだ胚軸を伸ばそうという勢いがあるので徒長してもやし状になってしまう。
それで「出芽させるな」というわけです。

よって、良い苗を揃って育てるには、たくさん蒔いた種が一様に「発芽して、出芽してない」状態にするために、

・種を水に浸したり、
・一定の深さに均等に蒔いたり、
・種の上にかける土も一様にする

など、発芽条件がトレイ上のどの種も同じになるように気を使う必要があるということ。
更に、あるブログにとても参考になる表がありました。

蒸し上げ(発芽促進作業)の目安期間

発芽促進作業の目安期間も品目によって決まっており、以下のような日数になっています。発芽はさせても出芽はさせてはいけません。

・アブラナ科:1日
・葉物   :1日
・きゅうり :丸1日
・ナス   :3日
・トマト  :2日
・ピーマン :3〜4日
・青しそ  :5日
・パセリ  :6日

出典)【実習】発芽と生育の温度管理と育苗の仕方〜有機農業研修レポート〜

きちんと種を蒔いてこの発芽促進(温度・湿度を発芽適温に保つ期間)の目安期間を守れば、「発芽させ、出芽させない」ことができるとうわけです。

これまで、この程度でいいと思ってきたいろいろなことを、丁寧にする必要を再確認しました。