第8回 体運動と経脈の対応(2)

 今回の東洋医学セミナーダイジェストでは、前回に続いて体運動と経脈の対応を取り上げます。今回は、各関節の回転運動や頚および体幹の運動です。



1.回転運動の定義

 身体の回転運動を説明するために、まず回転方向を下記1)〜3)のように定義します。

1)指の外回転と内回転

手首から指先に至る流れにおいて、
 右手指の場合、右ネジの回る方向が外回転。逆方向が内回転。
 左手指の場合、左ネジの回る方向が外回転。逆方向が内回転。
2)上肢関節・下肢関節の外回転と内回転
肩から肘をへて手に至る流れにおいて、
 右上肢関節の場合、右ネジの回る方向が外回転。逆方向が内回転。
 左上肢関節の場合、左ネジの回る方向が外回転。逆方向が内回転。
 
股から膝をへて足に至る流れにおいて、
 右下肢関節の場合、右ネジの回る方向が外回転。逆方向が内回転。
 左下肢関節の場合、左ネジの回る方向が外回転。逆方向が内回転。
3)頚・体幹の右回転と左回転
真上から見て、
 時計回りが右回転。
 反時計回りが左回転。


《 経脈の表記上の注意 》
注1)大腸は大、小腸は小、膀胱は膀、心包は包、三焦は三と略記する。
注2)(*)は月の十二経脈を表す。例えば、太陽の肺経脈は‘肺’、月の肺経脈は‘(肺)’と表記する。
注3)太陽と月の両方の経脈を指す場合は‘[*]’と表記する。例えば、太陽の肺経と月の肺経の両方を示す場合‘[肺]’と表記する。
注4)(心)は月の心経すなわち太陽の心包経。
注5)(小)は月の小腸経すなわち太陽の三焦経。
注6)(包)は月の心包経すなわち太陽の心経。
注7)(三)は月の三焦経すなわち太陽の小腸経。



2.指の回転運動と経脈

関節
運動
吸気
呼気
親指 外回転 (脾)
内回転 (胃)
人差指 外回転 (腎)
内回転 (膀)
中指 外回転 (肝)
内回転 (胆)
薬指 外回転 (肺)
内回転 (大)
小指 外回転 (心)
内回転 (小)
 例えば、右手の親指を息を吸いながら外回転させると、右足の脾経脈の気の流れが活性化されます。
 回転する動作を明確に意識しながら、指を一定方向に回し続け、息継ぎをするときは回転を一旦止めます。



3.上肢関節の回転運動と経脈

関節
運動
吸気
呼気
外回転
(包)
内回転
(三)
外回転
(心)
内回転
(小)
外回転
(肺)
内回転
(大)
 



4.下肢関節の回転運動と経脈

関節
運動
吸気
呼気
外回転
(肝)
内回転
(胆)
外回転
(腎)
内回転
(膀)
外回転
(脾)
内回転
(胃)
 



5.頚の運動(1つの経脈に作用する運動)

関節
運動
吸気
呼気
左側屈
右脾
右(脾)
右側屈
左脾
左(脾)
左回旋
右腎
右(腎)
右回旋
左腎
左(腎)
左回転
右肝
右(肝)
右回転
左肝
左(肝)
 例えば、頚の左側屈の場合、息を吸いながら動作を行うと、右足の脾経脈の気の流れが活性化されます。
 



6.体幹の運動(1つの経脈に作用する運動)

関節
運動
吸気
呼気
体幹
左側屈
右胃
右(胃)
右側屈
左胃
左(胃)
左回旋
右膀
右(膀)
右回旋
左膀
左(膀)
左回転
右胆
右(胆)
右回転
左胆
左(胆)
 



7.頚と体幹の運動(複数の経脈に作用する運動)

関節
運動
吸気
呼気
側屈
左膀、右膀
左(膀)、右(膀)
伸展
左三、右三
左(三)、右(三)
体幹
屈曲
左腎、右腎
左(腎)、右(腎)
伸展
左包、右包
左(包)、右(包)

例えば頚の屈曲の場合、息を吸いながら動作を行うと、左足と右足の両方の膀胱経脈の気の流れが活性化されます。



8.経脈体操

 前回と今回で説明した運動は、身体の気の流れを整えるのにとてもよい効果があります。
 日常的に行う体操として薦められる方法は、足の指から初めて、足首、膝、股、体幹、肩、肘、手、指、頚の順序で関節を動かすことですが、この順序は特にこだわらなくてかまいません。各体操は数回から10回ほど無理をしない回数行い、呼吸は体が判断しますので自然に行います。この体操を「経脈体操」と呼びます。
 経脈体操はヨーガの準備体操としても使えます。

経脈体操の例)下記体操を1から10まで順々に行う。

1)足の指
 
  足の指を広げたり握ったりする運動(足の指をグー、パーする運動)
  足の指の回転運動(手で回す)

2)足首
 
  内転外転、屈曲伸展、内反外反
  内回転・外回転

3)膝
 
  回内回外、屈曲伸展
  内回転・外回転

4)股
 
  水平屈曲水平伸展、内旋外旋、屈曲伸展、内転外転
  内回転・外回転

5)体幹
 
  屈曲伸展、左側屈右側屈、左回旋右回旋
  左回転右回転

6)肩
 
  水平屈曲水平伸展、内旋外旋、屈曲伸展、内転外転
  内回転・外回転

7)肘
 
  回内回外、屈曲伸展、水平屈曲水平伸展
  内回転・外回転

8)手
 
  内反外反、橈屈尺屈、屈曲伸展
  内回転・外回転

9)手の指
 
  手の指を広げたり握ったりする運動(手の指をグー、パーする運動)
  手の指の回転運動

10)頚
 
  屈曲伸展、左側屈右側屈、左回旋右回旋
  左回転右回転



9.経脈操体法による治療

  病気に対応する経脈を特定し、その経脈を活性化する経脈操体法を患者に指導することで治療を行うことができます。
 太陽の十二経脈と月の十二経脈合わせて40の経脈から1つの経脈を特定する方法については「竹下雅敏東洋医学セミナー」で学びます。