第6回 ヨーガ・アーサナ

 インドのヨーガは、人の心身の健康や魂の進化に関する科学を太古より伝えています。
今回の東洋医学セミナーダイジェストでは、一般に「ヨーガ」としてよく知られているヨーガ・アーサナ(yoga asana:ヨーガのポーズ)を取り上げます。



1.ヨーガ

 「ヨーガとは、心のはたらきを止滅することである」(ヨーガ・スートラ1−2)

 伝統的なヨーガでは、段階的に心を静めることを教えています。この「心」とは、様々な欲望の対象を探して、静まることなく移ろう心を指しています。そして、そのことにまず気づき、次に心の対象を自分自身に向け、本来の自分、幸福な自分に至るための道筋を教えています。
 霊性の進化には主たる3つの道筋があります。それらは
  智恵の道  (ジュニヤーナ・ヨーガ:jnana yoga)
  愛と献身の道(バクティ・ヨーガ:bhakti yoga)
  行動の道  (カルマ・ヨーガ:karma yoga)
といわれ、これらは心のあり方にその基準があります。
 一方、一般にヨーガとして知られるのはハタ・ヨーガ(hata yoga)と呼ばれるもので、アーサナ(asana:ヨーガのポーズのこと)をとって瞑想し、心身の状態をコントロールするものです。
 心は身体に影響を与え、同様に身体の状態は心に影響します。様々なヨーガ・アーサナをとることにより身体のエネルギーの調整をし、心を騒がす身体の不具合を修復することができます。従って、多くの人にとってヨーガ・アーサナは、心と身体の健康を維持するために大切なものです。
 また、霊性の進化という観点から、ヨーガ・アーサナは、人間の高次の身体のエネルギー中枢であるチャクラの浄化と覚醒とも深い関係があります。


2.チャクラ

 人間の脊柱内には、高次のエネルギーを変換し、身体のナーディー(脈管)にプラーナ(気)を供給する7つの中継点があります。それがチャクラと呼ばれるものです。ヨーガの用語では、チャクラとは「車輪」あるいは「渦」を意味しています。それはチャクラからプラーナが渦のように回転しながら放出あるいは吸収しているためです。

 チャクラには、脊髄のチャクラと神経叢のチャクラの2つの系統があり、そして、チャクラからの気の出入り口である体表のツボがあります。
注意)体表のツボはチャクラではありませんが、便宜的に体表のチャクラと言う場合もあります。


3.チャクラの浄化と覚醒、クンダリニーの覚醒と上昇






 霊性の進化において、次の過程をとります。

 1)チャクラの浄化
 2)チャクラの覚醒
 3)クンダリニーの覚醒
 4)クンダリニーの上昇

1)2)の段階でチャクラが覚醒した後、ある時期が来たとき脊柱内にある中心管の中をクンダリニーと呼ばれる生命エネルギーが覚醒し、脊柱底部から脊髄のチャクラを1つずつ通過しながら脳まで上昇します。そして脳が全面的に開花し、覚醒にいたり、霊的な進化がもたらされます。

 脊柱内のクンダリニーが上昇する中心管は【中心管の構造のイメージ図】のように重層的な構造をしており、各人の進化の段階に応じて

 スシュムナ・ナーディー
 ヴァジュラー・ナーディー
 チトリニー・ナーディー
 ブラフマ・ナーディー

のいずれかのナーディーの中をクンダリニーが上昇します。
 各ナーディーはこの順に進化の段階が高くなり、ブラフマ・ナーディーをクンダリニーが上昇して、サハスラーラ・チャクラに到ることで、解放と呼ばれる段階に到達します。


4.ヨーガ・アーサナによるチャクラの浄化1

 今回は、チャクラの覚醒の準備段階として、ヨーガ・アーサナを用いたチャクラの浄化の方法を紹介します。
 全てのヨーガ・アーサナは、それぞれただ1つのチャクラと関係を持っています。チャクラの浄化のためには、各々のヨーガ・アーサナが対応する体表のツボに意識の焦点を合わせる必要があります。このとき息は鼻で自然に行います。

【放出のルートを浄化するヨーガ・アーサナの例】

コブラのポーズ
(ブジャンガ・アーサナ:bhujanga asana)
会陰(ムーラーダーラ)

前屈のポーズ
(パシュチモーッターナ・アーサナ:pascimottana asana)
関元(スワーディシュターナ)

弓のポーズ
(ダヌル・アーサナ:dhanur asana)
水分(マニプーラ)

逆転のポーズ
(ヴィパリータカラナ・アーサナ:viparitakarana asana)
だん中(アナーハタ)

鋤のポーズ
(ハラ・アーサナ:hala asana)
簾泉(ヴィシュダ)

輪のポーズ
(チャクラ・アーサナ:chakra asana)
白毫(アージュナー)

頭立のポーズ
(シールシャ・アーサナ:sirsa asana)
百会(サハスラーラ)





5.ヨーガ・アーサナによるチャクラの浄化2


【吸収のルートを浄化するヨーガ・アーサナの例】

金剛坐
(ヴァジュラ・アーサナ:vajra asana)
 
会陰(ムーラーダーラ)

足の親指を重ねずに、軽く触れるようにして正坐をする。背筋を伸ばし、両手を膝の上に手のひらを上にして乗せる。



英雄坐
(ヴィーラ・アーサナ:vira asana)
 
関元(スワーディシュターナ)

正坐をし、両足先を開いて、その間に腰を落として尻を床につける。背筋を伸ばし、両手を膝の上に手のひらを上にして乗せる。



合蹠
(バッダコーナ・アーサナ:baddhakona asana)
 
水分(マニプーラ)

両方の足の裏をぴったりとつけて、踵をなるべく体の方に近づける。背筋を伸ばし、両手を膝の上に手のひらを上にして乗せる。




蛙の坐法
 
だん中(アナーハタ)

足の親指を重ねずに、軽く触れるようにして正坐をし、両膝を出来るだけ外に開く。背筋を伸ばし、両手を膝の上に手のひらを上にして乗せる。




直立坐
(タラ・アーサナ:tala asana)
 
簾泉(ヴィシュダ)

足の両親指、左右の踵と膝をそれぞれくっつけて、両足を揃えてまっすぐに立つ。両手は体側にそろえ、手のひらを前に向ける。




くつろぎのポーズ
(シャヴァ・アーサナ:sava asana)
 
白毫(アージュナー)

仰向けに寝て、両手、両足を少し開く。
手のひらを上向きにする。




赤ちゃん坐
(パヴァナムクタ・アーサナ:pavanamukta asana)
 
百会(サハスラーラ)

両膝を立てて、踵を身体に近づけ、両腕で膝を抱える。このとき、男性は左手が右手の上に、女性は右手が左手の上にくるように抱える。